食事は美味しく食べられるのが一番ですが、
施設でも、在宅で一人暮らしの方でも、高齢者の方は、時々
「食べられない」「お腹が空かない」
「食べたくない」「食べないから痩せちゃった」
と、言われることがあります。
あんまり、食べられなくなったら、お医者さんから「老衰になりますよ」と言われて、「エンシュアを一日3回飲むように」と処方されたそうです。
食べられないと低栄養になり、体力が落ちてしまいます。
「食べられない」という高齢者の声
私が訪問している利用者さまです。
お腹が空かないのよ。朝、起きて牛乳を飲んだら、庭で草取りしたり、花に水をやったりして、朝ごはんは午後1時ころ。
食べたくないの。
ご飯が入らないから、テレビを観ながらアンパンを食べるのが、一番楽!。動くと苦しい。
食事中に飲み込んだものが食道に詰まった感じになり、食事がしにくくなった。
肉が食べられなくなって、体重が39㌔に落ちちゃったよ。
また
施設で出会った認知症の入居者様は、食べ物が認識できなくなり、箸などの食器をどう使うか分からなくなったりして、食事ができないことがありました。
この方の食事介助は、何の料理か、食べ物なのか説明して、理解すると食べ始めていました。
高齢者の食欲不振の原因は?
病気が原因
体の病気(風邪・胃腸や肝臓など消化器官の病気など、誤嚥性肺炎)
精神の病気(うつ病や精神的に病んでいるとき、身の回りの人の死別や孤独感)
老化によって運動量が低下
筋肉量、基礎代謝が低下したりすることでお腹が空いたと感じにくくなる。
ストレスで自律神経の乱れにより食欲不振
体の動きが不自由になったり、経済的な不安などによってストレスを感じることが多い。ストレスがかかると自律神経が乱れ、食欲不振になる。
味覚、嗅覚、視覚が低下
高齢者は舌や口腔内で味を感じる味覚細胞が減少してしまうので、味覚が低下しています。
そのため、味は濃いものを好むようになりますが、健康面で薄味の食事は「美味しくない」ということになってしまいます。
また、嗅覚が低下、視覚が低下して美味しく食べられなくなる。
高齢者が食べられなくなると・・・
「一日中家の中にいる」「疲れやすくなった」「食欲がわかなくなった」
身体的活動能力が落ち、倦怠感が強くなり、悪循環になります。
「フレイル」という“加齢に伴う予備能力低下のため、ストレスに対する回復力が低下した状態”になります。
引用:日本老年医学会
「サルコペニア」「ロコモ」はどちらもフレイルの状態に影響する病態です。
「サルコペニア」・・・「筋肉量の低下」「筋力の低下」「身体能力の低下」
「ロコモ」・・・立つ・歩くといった身体能力が低下した状態
こんなことがあると要注意!2つあてはまると、プレフレイル(フレイルの前段階)
・体重減少
・疲労感
・歩行速度の低下
・筋力低下
・活動量の低下
高齢者の食欲不振を予防するには?
・フレイル予防のために積極的に摂取したい栄養素は主に
たんぱく質、ビタミンD、カルシウム
・正しい姿勢で食事をする 。姿勢が悪いと咽る原因になり、苦しくて食べたくなくなります。
・食事をするとき口に入れて硬いと食べる意欲がなくなります。なるべく柔らかい食べ物を出すようにしたり、小さく切って出したりします。
・ 食事は楽しみの一つです。好きな料理や具材があれば、喜んで食べられます。